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十三年前と変わらない、あどけなさを残す笑顔にわたしの胸が跳ねた。なんの心の準備もしていないこんな再会は、言葉も感情も一気にどこかへ吹き飛ばしてしまう。
「あ、あの時、約束、あなた破った」
必死に引き戻した言葉は、まるで片言の外国人のようにしか出てこなかった。彼はプッと吹き出した。
「あの時会ったのは確か日本人だったはずなんだけど」
カアッと全身の体温が一気に上昇した気がした。
「だって、こんな急に現れて――」
「待っていてくれたんだな、ごめんな。でも俺、約束の日を忘れていたわけじゃねえんだ」
予想外の彼の言葉に、わたしの口から飛び出そうとしていた文句の言葉は行き場を失い引っ込んだ。
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