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「インスタントのネスカフェです」
サンタは笑みを浮かべた。
そして、グッド、と小さく言った。
「あのう、そろそろ何のご用件で訪れたのか教えてもらえないでしょうか?」
「そうだな。時は刻々と過ぎていく。いたずらに浪費してはならない」
サンタはマグカップをこたつの上に置いた。
そして白ヒゲを一撫した
「要件というのは他でもない。契約関係の話だ」
「契約ですか?」
「君はクリスマスの使用料を払っているかい?」
「クリスマスの使用料?」
彼はうなずいた。
「そうだ。私どものデータでは、この家の住人からの支払いは確認されていない。そうだね? 君は払っていないのだろう?」
私はうなずいた。
「そうですね。クリスマスの使用料なんて払ったことはありません」
サンタは袋から緑色のバインダーを取り出した。そこには契約書のような紙がはさまれていた。
「ここにサインをお願いできるかな」
私は契約書を見た。そこには、あれやこれやの難しい言葉が並んでいた。
要約すると、クリスマスを享受する者はクリスマスに対する使用料を払う義務がある、とのことだった。
その額13990円(年)。
「ひとつ質問いいですか?」
「どうぞ」
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