聖なる夜の契約

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それほどまでに彼らのバックについている組織の力は巨大なのだ。国家権力にまで力が及ぶほどだった。 だからサンタが勝手に家に侵入するのは問題とならないのだ。 「さあ、サインをしてくれ」 白ヒゲの男はなおも私に迫ってくる。 彼も生活がかかっているのだろう。何としてでも契約させてやるぞとの強い圧力を感じる。 しかし、わたしだって生活がかかっているのだ。今月は嵐のDVDに想定以上にお金を使ってしまった。これ以上の出費は厳しい。 私は何とかしてこの状況を打破しようと、わらにもすがる思いで契約書を見直した。 どこかに抜け道は無いだろうか……? その時、私は契約書のすみに書かれている注意事項に目がとまった。 そこには、「以下のものを所有している場合、たとえクリスマスに自主的に参加していなくても使用料は払わなければならない」とイラストつきで書かれていた。 ・ツリーやリース、キャンドルなどのクリスマス用雑貨 ・クリスマスソングやクリスマスにまつわる映画、小説など ・ケーキやチキン料理、ワインなどクリスマスを匂わせるすべての飲食物 ・ありとあらゆるクリスマスプレゼント類 ・サンタやトナカイのコスプレ衣装など ・パートナーや子供 私はそれらのイラストを指してサンタに見せた。     
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