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ボサボサに伸びたくるくるのりぃの髪を瑠璃が丁寧に櫛で解く。
「これでオッケー。ずっと可愛くなった」
鏡に映る自分の顔をりぃはまじまじと見ている。
「よし、私が働いてるお店にいくよ」
棚の奥深くから探し出してきた瑠璃の子供の頃のコートをりぃに着せる。
入り口の扉を開けると、道はまだ真っ白な雪に覆われていた。
りぃの小さな手を握りしめて瑠璃はゆっくりと真っ白な道を歩く。
「瑠璃さん、おはようございます」
白髪頭の立ち姿が美しいマスターが店のドアを開けてくれる。
「ありがとうございます。おはようございます」
瑠璃はりぃの手を引き、暖かい店内に入った。
「今日は小さなレディーのお客様がいらしてくれたようですね」
マスターは優しい微笑みをりぃに向ける。
りぃは小さな体をもっと小さくして、きょろきょろ店の中を見渡しながらこくんと頷いた。
「外は寒かったでしょう。どうぞ暖炉の近くのお席へ。小さなレディーにホットココアを入れましょう」
瑠璃はりぃを暖炉の一番近くの椅子に座らせた。
「あの白い雪の森と天使のお話はおとぎ話ではなかったのですか?」
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