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マスターの言葉に瑠璃は不思議とあたたかい気持ちになっていた。
りぃの手を取り瑠璃は歩く。
繋いだ手からぬくもりがりぃに伝わりますようにと思いを込めて。
瑠璃はりぃとたくさん話し、雪遊びをしたりお菓子を作ったり、買い物へ出かけたり、マスターのお店でおいしいココアを飲んだりした。
少しずつりぃが笑うようになって、いろいろな表情を見せてくれると瑠璃は心から嬉しく感じていた。
「瑠璃おねえさん、これりぃからのプレゼント」
暖炉の火があたたかく燃えている。
りぃはポケットから小さな包み紙に包まれた何かを両手で瑠璃の前に差し出した。
「え?いいの?なんだろう?」
瑠璃はりぃの手から包み紙を受け取る。
「今日ねお店で一緒に作ったの」
この日は街に用があり、瑠璃は店のマスターにりぃを預かってもらい出かけていた。
包み紙を丁寧に解くと、甘い香りをまとった一口大のチョコレートが顔を出す。
「チョコレート作ってくれたの?嬉しい、ありがとうりぃ」
瑠璃の笑顔に共鳴するようにりぃの表情も笑顔になる。
「瑠璃お姉さんにもらってはじめて食べたチョコレートかとっても甘くて美味しかったから、りぃも上げたいなって思ったの」
「ありがとう」
瑠璃はりぃを抱きしめながら、りぃと始めて会った日のことを思い出していた。
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