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70日。
その時間は終わりに近づいている。
白い雪の森に捨てられたりぃ。天使の涙で70日の時間、瑠璃の元へやってきた。
あたたかさ、ぬくもり、幸せ、りぃは感じてくれたのだろうかと瑠璃は考えていた。
「お二人とも幸せそうにケーキを食べて、笑ってくださって、こちらもとても幸せです」
苺のショートケーキが3人の目の前で微笑んでいるようだった。
窓の外はすっかり星空が広がっている。
「天使は本当に来てしまうんですね」
楽しそうに木のおもちゃで遊んでいるりぃを見つめながら瑠璃がぽつりとつぶやく。
「ええ。小さなレディーも感じてはいるでしょう。そろそろ天使のお迎えがくる位置に星が動きます」
風がピタリと止み、一瞬星が強く瞬いたように見えた。
瑠璃の隣に立っていたりぃがふわっと揺れる。
崩れるように倒れていくりぃを瑠璃が両手で受け止める。
「りぃ」
瑠璃の目から一筋の涙がぽつりとりぃの顔に落ちる。
「瑠璃おねえさん、チョコレート美味しかったな」
唇の両端を少しあげ、小さな声でつぶやく。
そしてゆっくり眠るようにりぃは目を閉じた。
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