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白い雪の森には、ずっと昔から雪が降る夜にだけ小さな小さな森の精が現れるという。
そして、その精霊たちは綺麗な声でハーモニーを奏でる。
その歌声があまりにも美しいので、天に住む天使が舞い降りてきて白い森の精たちと一緒に美しいハーモニーを奏でるようになった。
天使と白い森の精たちに守られたこの白い雪の森は、それからずっと綺麗な森の姿を壊すことなく時が過ぎた。
けれどある日、森の入り口に一台の車が止まった。
後部座席のドアが息つく暇もなく開き、くすんだオレンジ色の何かが蹴り出されるように真っ白な地面に転がり落ちてきた。
車のドアが締まる音とともに、勢いよくその車は森の入り口から立ち去った。
真っ白な地面に転がったくすんだオレンジ色の何かがしばらくして、ゆっくりと体を起こした。
くすんだオレンジ色のフードを被ったくるくるとうねった茶色の髪をした小さな少女が一人、真っ白な雪の森の入り口に立っていた。
少女は泣いてもいなければ、叫ぶこともなかった。
まるで、自分の運命を受け止めてでもいるかのように何の表情もしていない。
ほんの少しの沈黙の後、少女はゆっくりと白い雪の森へと歩いて行った。
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