君と幸せの70日

4/14
前へ
/17ページ
次へ
白い雪の森から少し離れた場所に瑠璃の家はある。 コートに降り積もった雪をはたき落として部屋の中へ入る。 何だか疲れていた瑠璃は、暖炉の火だけ灯すと毛布を頭からかぶっていつのまにか寝てしまっていた。 窓から差し込む優しい光に瑠璃はベットの上に体を起こした。 外はまだ真夜中の星が瞬いている。 瑠璃は不思議なその優しい光に導かれるように、ベットから起き上がり光が差し込む窓に近付いた。 窓の外には、天から降り注ぐ優しい光が広がっている。 そして、その光の中心には透き通るような、それでいて光り輝く大きな白い羽を纏った天使が立っていた。 瑠璃は眼をぱちぱちさせる。 天使は優しい眼差しで瑠璃を見つめているようだった。 瑠璃は眼を見開いて、天使をじっとみる。 その瞬間、天使の腕にくすんだオレンジ色のなにかが優しく抱きかかえられていることに気づいた。 瑠璃は驚きながら、急いで椅子に掛けっぱなしになっていたコートを羽織り、入口の扉を勢いよく開いた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加