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眩しい朝日が窓から差し込む。
瑠璃が眼をこすり、毛布に包まった体を起こす。
暖炉の火が小さく燃えている。
朝日に照らされた部屋の中を瑠璃はゆっくりと見渡す。
ベットの上にはくるくるとした茶色い髪の小さな少女がスヤスヤと眠っている。
「夢じゃなかった」
瑠璃はほっぺをぱちっと手のひらで軽く挟む。
もう一度少女を見つめてから、伸びをして立ち上がる。
暖炉の薪をくべ、ミルクをあっため朝食の準備をする。
カップを2つテーブルに並べる。
ベットの上の少女がもぞもぞと動く。
瑠璃は温めていたミルクを火から外し、少女の側へ歩み寄る。
少女がゆっくり眼を開ける。
「おはよう。起きたかな?」
少女は突然はっとした顔をして飛び上がり、ぴったり壁にくっついて毛布を頭からかぶった。
「ごめんなさい。何もみてません。何も聞いてません」
怯えた小さな声で少女は謝り続ける。
「大丈夫だから。謝らなくていいから、顔をみせて?」
少女の反応に戸惑いながらも、なんとか落ち着いた口調で少女に語りかける。
瑠璃は少女の様子を見て、子供の頃を思い出していた。
今ベットの上でじっと動かない少女と同じような様子の子たちを瑠璃は何人か知っていた。
捨てられて施設に預けられた子供達だ。
瑠璃は何度も優しく話しかけた。
やっとのことでなんとか少女が毛布から顔をあげてくれた。
「おはよう。名前はなあに?」
「りぃ」
もごもごと小さな声で少女が言う。
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