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綴り終えた言葉が最も映えるのは月明かりの下に違いない。
灰色の味気ない鳩の羽は孔雀の羽に化ける。
筆者は昼夜問わず読み物をしているが、昼と夜では随分と読後感が違っている。
例えばボードレールの詩集、昼に読んでも当該何一つ感じるものは無いし全く内容を覚えていない。
しかし夜、寝る前、お気に入りの半纏を着て読み耽るボードレールやラヴクラフトの世界に驚嘆する日々を送っている。
其処ではサバトが行われ、黒山羊に生贄が運ばれているではないか。
終いにはナイアルラトホテップが窓からこちらを見ている始末だ。
急いでカーテンを閉め、布団に潜り込む度間一髪だったと安堵する。
その後「何処までも此の世の外へ」逃げようと計画を企て気付くと眠っている。
文章に限った事では無いかもしれない。ムンクの画集も例外無くその通りだ。
「マドンナ」に誘き寄せられた背後には「吸血鬼」がいて窓ガラスには「叫び」が映る。
ムンクの画廊はこんなとこにあったのかと思い、歓喜と恐怖で「月に吠える」朝になったら売りに行ってやろうと大金持ちを夢みて眠りにつく。
心地良く目覚めると、直ぐに青ざめる。
寝ている間に泥棒が入った。
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