12人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
3.触らないで
僕には彼女をどうにかすることができない。だが、置いて帰るのも後ろ髪をひかれるようだった。もう一度彼女を軽く叩いてみる。全く反応が無い。僕はアスファルトにゆっくりと腰をかけ、体育座りをした。そうして、眠りについた。気づくと空は青々しく、僕の心とは真逆だった。ふと、彼女は大丈夫なのか、と思い、横をみる。すると、昨日とは姿勢が変わっている。もしかして目が覚めたのか!
「大丈夫ですか、」
と僕のかすれた声が言った。彼女の目がゆっくりと開いたのが分かった。彼女はゆっくりと体を起こし、周りをみると急に
「私に触らないで!」
と言った。僕はいきなりのことで呆気にとられていた。
「僕、見えますか…?」
彼女の声にも驚いたが、それより僕が見えてる彼女にびっくりした。すると、彼女は一度驚き、徐々に目を伏せるように、声にならないような声で
「ごめんなさい。」
と言った。
「私のせいです。」
その一言で僕は
「えっ。」
と彼女の言葉に変な声が出た。彼女は頭抱えるように下を向き、こう言った。
「私に触ると触った人は、誰からも見てもらえなくなるんです。」
今度は声も出なかった。僕は体が硬直したかのように、ピクリとも動かなかった。ようやく動いた口は
「なんで、なんでそんなことするんですか…?」
と彼女を非難するようなこんな言葉しか出なかった。彼女は消えそうな声で
「ごめんなさい。」
ともう一度答えた。僕は何を困らせているんだと思い、
「すみません。変なこと言いました。」
と謝るが、彼女は首を横にし、
「私が悪いからいいんです。私がこんな変な力があるから、ダメなんです。」
僕はどうゆうことか詳しく知りたいと思い、
「どうゆうことかもし良ければ教えてください」
と聞いた。
彼女はゆっくりと口を開き答えてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!