3 砂の呪術師

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 程なくして、砂が撒かれた大広間に木製の小さな馬が2つ用意された。  アウィヤは腰から下げたボロボロの人形と砂の入ったビンを目の前に置き、 「失礼いたします」  そう言って、王子のサラサラな髪を一掴みで引きちぎり人形の頭に埋め込んだかと思うと、それを木馬の上に乗せた。  もう片方の馬には適当にゴミクズのようなものを乗せ、香を焚きながらブツブツと何かを唱え始めた。  コレコォレ(囁け囁け、) コカノ エドノエサ(悠久の旅人、) グラク コォル(砂の精霊達よ、)ノァ ニロート(我に見せとくれ、) スィカロ シェルーカ(汝らのその記憶を)  何を言っているんだ……  アウィヤは俺が全く理解できない言葉で何かを唱えている。  そして、全てを唱え終わった後に杖で地面を軽く突くと、木馬から人形がぽとりと地面に落ちた。  アウィヤはすぐに人形を拾うと、ビンの封を開けて中の砂を馬の周りの撒き散らした。  アルベアルベ コォレ(もっともっと囁け、) グラク コォル(砂の精霊たちよ、) ノァ ニロート(我に見せとくれ、)マヴェータ シェル (王子の死の真実を) ハ ナミ  白目をむいたアウィヤがさらに呪文を唱えると、さっきアウィヤが撒いた砂が動き始めた。  まるで砂が命を持っているようだ。  砂は木馬の前方に集まっていき、細長いひも状になったかと思うと、うねうねと動き、ピタリと止まった。  その動きはまるでヘビのようであった。  アウィヤの目は元に戻っていた。 「ガウダー様、砂の精霊達が教えてくれました。どうやら王子は落馬してお亡くなりになられたようです……ヘビが原因で」  
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