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ローリエがやれやれといった顔で口を開いた。
「わかった。私がもう1匹狩ってきてやる。1匹でだめなら2匹と戦わせればいい。それで少しは張り合いが出るというものだろう。私に任せろ」
「いや、それはちょっと」
俺とブラッキオは目を合わせた。
大熊を狩りに行くなどローリエにはまだ早すぎる。危険すぎる。
そのことは、ローリエ以外の2人が十分に承知していた。
「なんだ、私には無理だと言うのか?」
「そうではありませぬ。ただ、どんなことにも順序があると申し上げたいのです。かのギガノトスでさえ、最初は子ウサギを狩って経験を積み重ねてきたのです。若君はまだ普通の熊も経験になってなっておりません。どうかご理解を」
王子を必死で止めるブラッキオに、狩から帰った頃のあの堂々たる風情は無かった。
ローリエは久々に不満げな表情をうかべて、ぼやくように答えた。
「なら、ブラッキオ、お前が一緒に来ればよかろう……」
ブラッキオは無言のまま、自分のズタズタな装備品に目を落とした。
ブラッキオ、王子を頼んだぜ……
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