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2 平穏
雲1つ無い空。
今日ローリエとブラッキオは大熊狩りに出ることが決定した。
城内の馬屋で俺が2人に馬を用意した頃には、太陽が西に傾き始めていた。
ローリエには、彼の馬アルブスを。
そしてブラッキオは何でも乗るので大きめのやつを適当に1頭用意した。
アルブスは美しい白銀色の毛並みを持ち、馬場のどの馬よりも早く走る馬だ。
そして何よりこいつはローリエ以外の言う事をまるで聞かない。
馬屋から引っ張り出すのも一苦労だった。あとこいつは人参の味にうるさい。
逃げようとするアルブスを引き止めようとしていると、ローリエがやってきた。
アルブスは主人の姿を目にすると態度が一変した。
この時だけは他の馬と同じように言う事を聞いてくれる。いつもそうだ。
「会いたかったぞ、アルブス」
ローリエがアルブスの首を撫でてやると、気持ちよさそうに鼻を伸ばした。
ブラッキオも新しい装備に身を整えて馬を取りに来た。
彼はとても疲れた様子で騎乗し、腰に下げた短剣、そして弓を確認する。
ローリエもアルブスにまたがり、出発の準備が整った。
「ブラン、私の弓矢はあるか?」
「城門までお持ちします」
俺は城門まで、2頭の馬のケツを拝みながら2人の後をついていくことになった。
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