ごほうび

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しとしとと雨が降りしきるなか、久しぶりの学校。 教室に入った直後はさすがに全員に見られたけど テストのお陰でみんなそれどころじゃなく すぐにテストモードに切り替わってくれた。 『ちょっとなつめ!』 美知子に肩を捕まれた。 『あ、美知子。おはよ。』 『おはよ、じゃないよ。あんた携帯の充電切れてるでしょ? 』 『携帯?そういえば金曜から触ってないや』 ガリ勉してて気付かなかった。 『教えて欲しい問題あったのに~』 『ごめん、ごめん。』 良かった。美知子も平気そう。 テストが始まった。 いつもなら解答欄を埋めたらぼんやりタイムだけど 今回は念入りに見直ししといた。 『うー、英語ヤバイかも。単語数多すぎでしょ……』 美知子が答え合わせをしながら唸った。 『あー、長文ね~引っかけ問題もあったよね。』 『え、嘘…』 『曜日聞いてるふりして期間聞いてたよね~』 2教科目の生物のテスト監督は柴田先生で、テストが終わるとそのままホームルームですぐに解散になった。 『今井、柳。ちょっといいか?』 ざわざわする教室で柴田先生に呼ばれて教卓の前に集まった。 『学校、平気か?』 『うん。 』 『みんなテストに夢中でうちらの事なんて気にならないみたい。』 美知子も同じ事を考えてた。 『そか。なんかあったらすぐに言えな?』 『はい。』 『よしよし。 つか、柳。お前今回のテスト真面目に受けてんな。』 『うん。全教科満点とらないといけないからさ。』 『満点?』 美知子と柴田先生はきょとんとした顔で見てきた。 『全部満点だったらデートしてくれるって約束したもん』 『え、もしかして菅原さん?』 『誰だよ。柳は犬飼と付き合ってんじゃねぇの?』 ふふふ。と笑うと二人は顔を見合わせた。 『しかし、満点取ったらとか……。 それ、体よく断られてねーか?まぁ頑張れよ。』 柴田先生はポリポリと頭をかいて、教室を出ていった。
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