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土日はそれぞれラストスパートって事で各自で勉強することになって俺も病室で追い込みをかけた。
あの菅原って奴はいけ好かないけど、要点をしぼって教えてくれた。
ちんぷんかんぷんだった問題もちらほら解けるようになってきた。
『あんたがそんなに勉強好きだったなんてねぇ……』
差し入れのお菓子を勝手に頬張りながら繁々と見ている。
『好きじゃねぇし!』
『はいはい。休憩する?』
お菓子を1つ渡してきた。
目の上のアザはまだ少し残っている。
『母さん。』
『ん~?』
コップにお茶をつぎながら背中で返事をした。
『ごめんな。目……携帯ぶつけて……』
母さんの動きが一瞬止まった。
『舜は反抗期なかったけど
アキトもマサトも散々反抗期したからね~
今さら、こんなの大したことないよ!』
ケラケラと笑った。
『でもね。』
ゆっくりと振り向いた母さんの目には涙が浮かんでいた。
『あんまり心配させないで。
親より先に死ぬのは許さないからね。』
『うん。ごめん………なさい。』
あのときは自分でも分かるくらい普通じゃなかったけど
死ぬとか簡単に言った事を
今すごい後悔した。
『はぁ、女の子ならこんな心配要らないのかしら……
一人くらい、女の子欲しかったわー。』
俺の為についだと思ってたお茶を、何故か母さんは飲み干した。
『はぁ?今更なんだよ!つかお茶くれよ!』
『さっさとなつめちゃん、お嫁に来てくんないかしら。
かわいい娘が欲しい。さらには孫も。』
『おいおい、俺ら高校生だぞ……』
しんみりした雰囲気は一瞬で消えた。
すると、ドアをノックする音がした。
『はーい』
母さんが立ち上がり、ドアの方に向かった。
『あらまぁ!お久しぶり
わざわざ来てくれたの?』
母さんはワントーン高い声で出迎えた。
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