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 廊下の窓から、梅雨が明けたのか、雲が切れて綺麗に満月が見えた。スカイブリッジに乗って泰介さんはきっとあそこへ行ったのだ。そして、今、あそこから僕らを見ている。そして一緒に笑っている。僕にはわかる。 「帰ろうか」 と僕が言うより早く、哲さんは僕に言った。 帰り道、哲さんはまた例の口癖を言い出した。  人は皆、一生賭けて愛せる人に、必ず出会えるようにできている。一人でいいんだよ。てか、そんな人、一人しか見つからないんだけどね。圭君もいつか、そういう人に出会えるよ。出会えたら、絶対僕に紹介してよね。
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