白い世界

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テーブルに座っても綺麗な夜景が広がっているのが見える。 私は、はっと気づき和明に言った。 「ちょっと、和明! このレストラン高いんじゃないの? 普通の夕食に、こんな所に来るのは贅沢過ぎると思うけど!」 その言葉に、和明は真剣な眼差しを私に向けた。 そしてこう言った。 「今日は普通の夕食じゃない。特別な夕食だから・・」 「えっ? 何て??」 そう言う私を無視して、和明は鞄から小さな手提げ袋を取り出した。 (もしかして、それって・・?) 彼はその袋からケースを取り出すと蓋を開けた。 そこには綺麗な指輪が輝いていた。 「夏実。結婚してくれ。僕と一緒にアメリカに行って欲しい」 私は目を丸くした。 心臓が破裂しそうに激しく鼓動している。 「えっ? えーーー!?」 「夏実。どうかな?」 和明は私を見つめている。 「和明、ちょ、ちょっと待って。そんな話、これまでしてなかったでしょう? 何故、突然・・? えっ? 今、アメリカに行くって言った?」 和明は真剣な表情を変える事無く言った。 「うん。今日、部長から内示を貰って・・ 来年四月からアメリカのシリコンバレーに赴任する事になった。期間は四年だ。僕のAI開発の技術レベルを会社に認めて貰っての赴任だから、本当に嬉しく思っている。でも、こんなに長い期間、夏実と離れている訳にはいかないから、今日プロポーズしようと決めたんだ」 私はそれを聞いて顔に右手を当てて大きく首を振った。 「和明、理由は理解したわ。貴方の気持ちもとても嬉しい。でも私の仕事の事は考えてくれていないよね?」 和明も大きく首を振った。 「考えたさ。でも、夏実は四年間も離れ離れで我慢できるのか?」 「それは嫌。でも、少し時間を頂戴。仕事をどうするか考えて返事するから・・」 その後、私達は殆ど無言でフルコースの夕食を食べた。 折角の夜景も、まったく目に入らなかった。
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