白い世界

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私が和明と会ったのは、その診断の四日後だった。 東京医科大での私の診察に、彼の同行をお願いしたのだ。 和明の待つ待合室に、母に手を引いて貰って現れた私を見て、彼は本当に驚いていた。 そして、私の診断や治療の難しさを聞いて、和明も声を失っていた。 その後、母に病院近くのカフェに連れて行って貰って、和明と二人で話し合う事にした。 そのカフェは道路に面した屋外にもテーブルが置かれ、私と和明はそのテーブルの一つに座った。 「私の病気、分かったでしょう? 残念だけど、和明と一緒にアメリカに行けない。結婚も出来ない。だから、婚約は一旦破棄して欲しいの」 私は下を向きながら言った。一生懸命泣かない様に頑張っていた。 「嫌だ!」 和明は大きな声でそう言った。 「えっ? どうして・・?」 私は泣きそうになるのを堪えて、そう声を絞り出した。 「絶対に嫌だ。こんな夏実を置いてアメリカに行けない。僕は夏実を幸せにするって決めたんだ。一生、一緒に居るって!」 私は、その和明の言葉を聞いて、眼から涙が溢れるのを感じた。 とても嬉しかった。でも・・ 「ダメ・・ 貴方の足手纏いになりたく無いの。お願い・・分かって!」 私は涙を拭いて、毅然として言った。 「Noだ! 明日、部長に言って、アメリカ行きは辞退する。僕は君を日本でサポートする。絶対に幸せにするから、このまま結婚してくれ!」 それは私が考えていた最悪のシナリオだった。 こんな事で彼の未来を台無しにしてはいけないんだ。絶対に! 「私は、もう貴方の事、嫌いになったの! だから絶対結婚なんてしない」 「えっ?」和明が驚いた声を上げる 「だから、今日でお別れ!!」 私はテーブルをバンと叩いて立ち上がった。 そして、眼が見えない事も考えず、走り出した。 「夏実! 待って!!」 和明が私の左手を掴まえたが、振り解いて私はカフェの外に飛び出した。 そして歩道を超え、車道との段差に躓き、車道に倒れ込んだ。 「夏実!!」 背中から強い力で持ち上げられた。 そのまま大きな身体が私を包み込んだ。 その瞬間、大きな衝撃が私を襲った。
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