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白い世界
私は川上夏実、二四歳。
大学を卒業して、現在は総合商社の金属事業部で働いている
私には大学の同級生だった恋人が居る。
坂本和明。彼は日本最大の電機メーカーで、人工知能(AI)の技術者として働いていた。
その日、突然、和明から私の携帯に着信があった。
「夏実、緊急で相談したい事がある。今晩会えないか?」
和明の声は、いつに無く興奮していて、私は何だろうと思ったが・・
「いいわよ。今日は残業無しで上がれそうだから」
私がそう答えると、和明は虎ノ門ヒルズの“ザ タヴァン グリル&ラウンジ”というレストランを指定して来た。
そのレストランは虎ノ門ヒルズの五一階に有った。
レストランに上がるエレベーターは高速で耳がキーンとなる程だった。
ウェイターに和明の待つ窓際のテーブルまで案内された。
テーブルでは和明が既に待っていたが、私は窓の外に広がる東京の素晴らしい夜景に目を奪われた。
「綺麗・・」
私は一瞬言葉を失った。
「お客様」
はっとして、振り返るとウェイターが私が座る椅子を後ろに引いて待っていた。
「あっ、すいません」
私は頭を下げると急いで席に着いた。
和明が笑っている。
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