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「それが惠梨香さん?」
刑事がイーゼルに乗せてある五十号のキャンバスを見て言った。
「そうです。まだ完成していませんが」
「惠梨香さんと最後に会ったのはいつですか?」
「えっと、四日前です。ここに来ました。私はこの絵のチェックを兼ねて、もう一度彼女の絵を描きました。簡単なデッサンを一枚と、スケッチを三枚ほど」
「その後は?」
「仕事が終わると惠梨香は帰りました。お互いに仕事だけの関係で、プライベートなところまでは立ち入らないようにしています」
「最近、悩んでいるとか、いつもと様子が違うとか、そんなことはありませんでしたか?」
「特別私は気が付きませんでした」
「そうですか。ありがとうございました。またお話を聞きに来るかもしれません」
そう言って刑事たちは帰っていった。
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