浜辺の二人

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 あっさりと白状したミワに、そうかい、とタカは低い声で呟いた。  白地に青い円を描いた浴衣の角帯に手を挟み、残った足を見下ろすと、なんとはなしにタカは指の間の砂をこすり合わせた。 「あら、犬」  ミワの声にタカが顔を上げると、真ん前に白い犬が尻尾を振って舌を出し立っていた。青い首輪をしている。近所の犬だろう。 「何も持ってねえぞ。ごちそうは食って来たんだからよ」  しっし、と杖で追いやると白い犬は飛びさすって後ずさりしたものの二人から離れようとはしなかった。  再び歩き出した二人の前をさくさくと先に歩いていく。 「灯りなんざいらねえや」  きらきらと月光が舞い踊る海面の先には大きな島が見える。  その島の家々の灯りが蛍のようだとタカは思った。  無数の蛍のひとつひとつには、それぞれの家族が温かく暮らしているのだ。 「まあ、なんだ。俺がお前をもらってやってもいいぜ」  タカは勢いに任せて言った。 「お互い傷物なんだしよ、遠慮なしでいいんじゃねぇか」 「タカちゃん、あんた、それを言うために私を浜に連れ出したの?」  あきれたようなミワの声にタカはカッとなり、前を歩いていた犬の尻を蹴飛ばした。  きゃん、と鳴いた犬はそれでも逃げようとはせず、恨めしそうにタカの顔を見上げるだけだった。     
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