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狂気
何がなんだかさっぱりわからない。
到底私には理解できなかった。だがなんだ、周りの生徒の落ち着きようは? 淡々と何か話し合っている。今の子供はすごいな。
「先生、先生はどう思いますか?」
「え、あ、ああ そうだな」 つい間の抜けた返事をしてしまった。なんと頼りない大人だろう。いや、私は教師だ。生徒たちを導かなければいけない。
「とりあえず、救助や連絡等がくるまでここで待機。 私は念のため非常用品を持ってくるよ」
「なあ、聖、家にいたんじゃないのか?」
俺はこれまでのことを話した。さすが2人とも理解が早い。
これからまた何か起こるかもしれないが、この2人とならどうにかなるだろう。俺は窓際に目を移す。俺が来てからずっと、心ここにあらずといった様子で外を眺める女子ーおそらく先輩がいる。
相当ショックを受けたのか、目が虚ろになっている。まあ、それが当然の反応か。
「これからどうする?」
「先生は待機と言ったけど、僕は反対。たぶん救助は来ないよ。」 真田は反対のようだ。
「確かにな。それにこれで終わりじゃないとおもう。さっきのやつも序章とか言ってたし。」俺が答えると同時に、悲鳴が聞こえた。
う、うわぁぁぁ!
今度はなんだ? 俺たちはすぐ悲鳴のほうへ駆け出した。
「ま、待ちなさい。ここは校内だ。部外者が入っていい場所じゃない!」先生が叫ぶ。
「グゥゥ..ああぁぁ!!」
「危ない!!」とっさに一晴が先生を引っ張る。
シュッ 一晴の目の前を刃物が通りすぎる。
「なっっ!」
「下がれ! 一晴!」 俺は全力で不審者にタックルした。
それに合わせて真田がどこからもって来たのか、ほうきを思い切り頭に叩きつける。不審者は気絶したようだ。
なぜこのタイミングで? 今まで本物の不審者なんて見たことなかった。
「一旦、教室に戻ろう!」
先生の指示にしたがって、さっきの教室に戻った。
「まさか、不審者が出るとは。」
「おもいっきりやっちゃったけど、正当防衛ってことでいいよね?」真田が陽気に言う。 やはりこのメンバーがそろったのは幸運だったな。
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