一目惚れは大変ですが?

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一目惚れは大変ですが?

『生徒会長編』 「やっぱり可愛い…」 私は、ただ今絶賛ある生徒の後ろをこっそりついて行っている。 「やっぱりお前おかしいよ」 共に帰っている幼馴染、栗原悠(くりはらゆう)からお褒めの言葉をもらう。その言葉に私は、 「いやぁ、それほどでもある」 と適当に返事し、男子生徒の後ろ10mぴったりでついて行く。それに幼馴染はため息混じりに言葉を追加する。 「入学式で後輩に一目惚れして、初日から早速ストーキングなんて…」 「ストーキングではなく、尾行と言ってもらいたい!」 男子生徒が床屋に入って行ったので、私は塀に寄っ掛かって幼馴染を見る。 「尾行もストーキングもあんまし変わらないよ。えっと…安藤林斗、だったっけな?あの男子生徒。」 「様を付けな様を!このトンカチ!」 「お前はどの立場なんだよストーカーの分際で!」 一通り怒鳴り合って、まだ尾行対象である林斗様が床屋から出てこないので、一目惚れの場面を思い出す。 …そう、あれは先程の入学式。私が生徒会長として演説していた時だ。 「この学校は、出来る限りの事を生徒の自由にさせています。新しい部活も、その部活の部員として5人集まったら作ることができます。ですが、自由に出来ると言っても虐めなどは許容出来ません。それらをわきまえて、学校の生活を楽しく過ごしましょう!」 考えた通りに言葉を言う。すると、新一年は拍手喝采だ。大半はこの美貌で投票されたが、自分でも生徒会長の仕事が出来ていると感じる。そしてふと、ある生徒が一際目立っていた事に気付く。その生徒は男子生徒で、髪の毛をとても長く伸ばしていた。その口は半開きで、長い前髪の間から綺麗な目が見えた。その瞬間に私は驚いた。 「(あの子…ありえないほど可愛い!)」 そう、髪の毛に隠れてあまり見えないが確信出来た。あの男子生徒はとても美少年だと! そのあと、私はその男子生徒を叱っていた須藤先生にその子の名前を聞き、生徒玄関へ走ってその子を見つけ、尾行したのだ。 「美少年なぁ…あんなワカメもやしが美少年なんて信じられないなぁ」 「様を付けな女たらし!」 「俺別に女(たぶら)かしてねえよ!あとあいつの名前林斗だったろ!様じゃなく林斗の方を付けろよ!」 「…ワカメもやし林斗様?」 「前半の6文字消せ!」 「し林斗様?」 「沈黙を1文字で考えるな!じゃあ追加で1文字消せ!」 「…カメもやし林斗様?」
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