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「追加でっつったろ!」
「全く、文句が多いなぁ悠は」
「誰のせいだ誰の!」
もう本当うるさい!と言葉にせず床屋の方を見ると、ちょうど、「ありがとうございました」という声が聞こえた。そして床屋の扉が開くと、そこから出てきた男の子は右、左を順番に向いてこちらに気付いたらしくこっちに近づいてくる。それを見て私はパニックになる。
「あっ、ちょっ、やばっ、悠!助けて!」
「馬鹿っ、おまっ、お前が犯人だろ!お前行けよ!」
「…あのぉ…生徒会長と副会長ですか?」
その男の子は、さっきまで私達が尾行していた男子生徒だった。その男の子の頭にはアホ毛が二本生えていて、顔はとても可愛らしく、パッと見た印象が口に出てしまう。
「て、天使…!」
「…沙織、お前の目に狂いは無かったらしいな。ブラボー!」
「…なにがですか?」
私は、その美少年に話しかけられた感動を飲み込み、
「そ、そうよ。私は生徒会長の如月沙織よ。こっちは副会長の上原悠。私の幼馴染よ。…うっ、天使…」
飲み込みきれずに、感動混じりの自己紹介をする。その私の反応に男の子は、
「大丈夫ですか?どこか悪いところでも?体調が優れないのだったら帰った方が…」
と心配してくれる。そして私は、感動しながら呟く。
「…天使…林斗様…!」
「り、林斗様!?別に林斗って呼び捨てでいいですよ。ここであったのも何かの縁。これから仲良くしましょうね?」
すいません偶然ではなく尾行してたからです懺悔させて下さい!と心の中で叫びながら私は精一杯の笑顔で応じる。
「分かったわ。林斗…林斗君!呼び捨てはまだハードルが高い!悠!助けて!」
1人でパニックになって悠に助けを求めようとすると、悠は土下座をしていた。
「すまんな沙織。俺はこの天使に懺悔している真っ最中なんだ」
手遅れだった。
「…あの、1つ聞いていいですか?」
その林斗君の言葉に先に返事したのは悠だった。
「なんなりと申して下さい。」
「顔を上げてください取り敢えず!悠さん結構イケメンなんですから!台無しになりますよ!」
その林斗君の言葉に、悠は、
「すいません尾行していたんです悪気はありませんでしたすいません」
言葉に関係なく本格的に懺悔し始めた。
「…あの、尾行は別にいいんですよ。それだけ僕に問題があったか、興味があったということでしょう?いいから顔を上げてくださいいい加減!」
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