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その怒鳴り声に悠は素早く顔を上げた。すると林斗君は「よし!」と言って、先程言えずにいた疑問を出した。
「お2人は付き合ってるんですか?」
『天変地異が起きてもありえない!』
即答だった。だけど、悠は追加で
「ただの幼馴染だ。こいつが好きなのは林…」
暴露しようとしたので口を封じる。物理的に。
「林…うん?もしかしてそれって…」
何か林斗君が気付きそうだから、私は来た道の方へ振り返り、逃げる。
「あっ、ちょ、おい馬鹿!ごめんな林斗君!また!」
そう叫んで悠もこちらに走ってくる。元はと言えばお前のせいだろ犠牲になれよ!と叫ぶと林斗君に悪い印象を与えそうになるので心の中で叫ぶ。
「先輩方!また今度お会いしましょう!」
その声を聞いて私の顔は赤くなる。だいぶ遅くなった現象。林斗君の前で赤くならなくて良かった。
「安藤林斗編」
「…転ばないかなぁ?」
僕は、心配で一言呟くと家に続く道を歩き始める。何もないと考え事が進む、だが、今となっては考え事は進んで欲しくない。何故なら…
「上原先輩のあの言葉…りんって、林…いや、勘違い!自意識過剰!絶対ありえない!あり得るわけない!僕の事なわけない!」
こうなるから。いや、きっと上げて落とす手法だろう!そうに違いない!
「何やってるのにいちゃん。家の前で叫んだりして…壊れた?」
「壊れてねえわ!」
家に着いていたらしい。僕に玄関の方から話しかけたのは、僕の双子のボーイッシュな妹、安藤香里奈だ。ちなみにオレっ娘。香里奈も今日、同じ高校の入学式へ行っていて先に帰っていた。
「聞いてよ香里奈~。床屋に行った後にさぁ…」
僕が走って香里奈へ近づき、腕を香里奈の後ろに回して話そうとする。香里奈からの返答がないので香里奈の顔を見ると、
「ぁ…ぅぁ…」
照れ笑いになりきれていない、顔を赤くした、まさに恋する乙女のような表情をしていた。
「お…俺部屋戻ってるから!晩御飯作っといてよ!」
慌てた様子というよりかは、好きな人に触られて吃驚というような反応で二階へ駆け上がって行った。好きな人…
「まさかな」
僕は靴を脱ぎ、靴箱へ入れる。その時、普段なら雑に入っていた香里奈の靴が揃っている事に気付く。
「…あいつもようやく女の子らしくなってきたな」
そう呟き、自分の部屋に帰って部屋着を着る。髪の毛を伸ばしっぱなしだったので、髪の毛が短いのはとても新鮮な感じがする。
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