小説の食事シーンほど需要の無いものは無い

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「平和ねぇ」 「そうだな」 「何処がッ平和なんだよ!」 僕は香里奈のビンタの嵐を捌きながら両親にツッコミの一言を言う。僕は隙を見て香里奈に後ろを向かせ、香里奈の胸を掴んで、 「ふっふ~ん、してやったりだぜ!」 と言う。ビンタの嵐になった時に毎回やる、日常茶飯事。…あれ?僕の日常おかしくない?そう思いつつも、いつもなら「変態ッ!」と言う罵倒とグーパンが飛んでくるはずなのに、そういう事が全くないのを疑問に思う。ちょっと強めに胸を揉んでも反応はない。テーブルに向いた香里奈の顔を、胸を揉みながら覗き込むと、 「ぅぅ、んっ、ぅ…ぅぁ」 変な呻き声を、顔を真っ赤にして指を胸の前で動かしていた。いわゆる照れの感情だ。それを見て僕は、 「ぅ、ぅぁ…ご、ごめんにゃさい!」 若干噛みながら謝罪して自分の定位置のイスに座った。僕の顔は、香里奈に負けないほど真っ赤になっているだろう。顔がとてつもなく熱い。原因は分からない… 「平和ねぇ…」 「そうだなぁ…」 その2人の呟きをツッコミできる状態ではなく、僕と香里奈は目線が合うと即座に逸らす動きを繰り返したながらオムライスを食べた。
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