僕らのクラスと驚愕の声

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僕らのクラスと驚愕の声

「行くよ!お…お兄ちゃん…」 「あ、うん…記念すべき1日目、僕達は確かA組だったよね」 香里奈の僕に対しての対応がちょっとおかしいが、これは昨日からだ。昨日、僕が香里奈の胸を揉むと、いつもと違う反応を起こした。そのあと殴られるでもなく、ただ、香里奈が僕を呼ぶ時、「お兄ちゃん」と呼ぶようになった。なんか慣れない。 「…いい、天気だねお兄ちゃん」 登校に使う道を、早く終わらないものか。と考えながらくだらない事を喋りながら歩いて行く。 「…そう、ですね」 よそから見たら完全に付き合いたてのカップルそのものだろう。僕も何故こうなってるのかが分からない。 「おいそこの生徒!」 校門を通ろうとすると、ジャージを着た先生に止められる。 「…なんでしょう?」 「お前…あの安藤だな。髪は切ってきたんだな。良し、行って良いぞ」 その先生は確か…須藤先生だった…よな?うん、だった。須藤先生は僕を睨んだかと思うと、すぐに納得したように頷く。言いたいところがある。 「…どうしてこの変貌ぶりで僕が〝安藤林斗〟だと?」 すると須藤先生は、「フンッ」と鼻で笑い、言った。 「生徒一人一人覚えるのは教師として当たり前。ちょっと変わった生徒を見て分からない方が駄目だと俺は思うぞ」 僕は須藤先生を尊敬するとともに、ちょっと…?と思いながら一礼をして教室へ向かう。朝礼とかは無く、授業という授業も初日はない。高校では珍しい…のか?珍しい、登校初日は自己紹介をして、友達を作りましょうという方針だ。あれここ進学校だよな?そう思いつつも教室に入る。席順としては廊下側から男子、女子、男子、女子という順番で、縦7列、横6列の合計42人が入る教室。出席番号順らしいので、僕は廊下に一番近い列の前から1番目に座る。昨日配られたクラスの振り分けの紙には僕と香里奈がそれぞれ男子と女子の1番目なので、横一列目、縦一列目が自分達の席だ。今は8時15分で、クラスは多分全員いる。みんなが席を立って話をしたりしているので分からないが。 「みなさ~ん、席に着いて下さいね~」 8時20分になると、クラスの担任らしき先生が入ってくる。そしてそのあと、先生が発した言葉は… 「友達を作るために、まずは自己紹介しましょう!」 だった。小学校かっ! 「私は美東杏奈(みとうあんな)。教師になりたての20歳よぉ」 その言葉に男子生徒は歓声をあげる。それもしょうがないと思う。
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