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盤上に産み落とされた私の騎兵が一直線上に敵の弓兵を捉える。
「やる気満々じゃのう?そいじゃあ、わしはこいつを守らなきゃならんのう」
「・・・黒石。2-7-騎」
「タイム!」
元白王が次の手を打つとともに私は読み手にタイムを告げた。
「白王。タイムです。1分追加します」
「・・・なんのつもりですか?」
「お?このおねぇちゃんはお前さんのタイムに従っとるだけじゃよ?」
「読み手のことではありません!あなたのことです!」
弓兵を守るために騎兵を使うなど愚の骨頂。元白王はすでに数の少ない役牌を二つも使ったことになる。
「ほほ。さっきも言ったがふざけて居るわけではないぞ。これは白王を襲名したとき、お前さんのじいさんから教わった手じゃよ」
「・・・じいちゃんが?」
「そうじゃ。襲名戦でお前のじいさんを降した夜。儂はお前の家に呼ばれたんじゃよ」
その話は初耳だ。
「知らんのも無理はない。お前さんは当時生まれたばかりの赤子だったからの。儂も白王を奪われた悔しさに闇討ちでもされるんじゃないかとびくびくしとったぐらいじゃ」
元白王はけらけらと笑いながら続けた。
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