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加えてなんだ。オレ以上にムッチリした手脚しやがって。そんな身体でオレの相手が出来ると思っているのか?
「Kちゃーん」
奴は眉毛のつながった丸顔でオレを見下ろした。
髪型はクレラップレディーを真似たクラシカルヘアーだ。
保育所の先生に「前髪どっかいっちゃったの?」て、突っ込まれたらしいな。個性派を通り越して、周りのみんなから失笑されてるのをオレは知ってるぞ。
う……。
く、臭え! 顔を近づけるんじゃねえ!
てめえ、朝食に納豆を食べたな?
ベタベタの手と頬っぺたをオレ様の頬っぺたになすりつけるんじゃねえ!
「やめろ! コラ! △△!」
……オレは、その精悍さが滲み出る声にホッとした。
兄(アニ)ィ!
助かったぜ!
兄ィなら、来てくれると思ってたぜ!
黄色い帽子に、背負った黄色いカバーのスクエアバッグ。ブレザーの半ズボンに白ソックスが眩しすぎるぜ、兄ィ!
全く、いつ見てもクールなオレの兄貴だぜ。
兄ィは、恐い顔でオンナをオレから引き離した。
「お前は早く保育所行け!」
オレにまとわりつこうとするオンナをビシッとたしなめる兄ィ。シビれるぜ。
残念だが、それから兄ィは急いだように家を出た。
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