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A new job in a new city.
摩天楼の谷間では、首が痛くなるまで見上げなきゃ青空は拝めない。視界を埋め尽くすのは人、人、人。そしてありとあらゆる欲望を巧みに引き出そうとする無数の広告だ。
金さえあれば手に入らないものはない。
金がないとしても、それなりに、刺激やチャンスには事欠かない。
流れ着いたばかりのこの大都会で、暴力的なまでのエネルギーに囲まれ、俺は、どちらへ向けて踏み出せばよいのか決めかねていた。
自由を求めて[研究所]を脱走したのだが。
完全な自由を手に入れた今、その使い道がわからない。
何でもできる。
何をすればいいのか。何をしちゃいけないのか。
せめて、「こっちへ進んでも大丈夫」と合図してくれる、青信号のようなものが見えればいいのに。
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