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堰を切ったかの様に、泣き出しました。
配達人さんは女の子を、ぎゅっと抱き締めます。
強くはなく、
けれど絶対に、何があっても離さない強さで。
女の子は、泣き続けました。
たくさん、たくさん…涙が枯れるまで、泣きました。
…そして、女の子が落ち着いて、泣き止んだ頃。
「もう、大丈夫かい?」
「…はいっ」
女の子はぽろぽろ涙を零しながら、にっこりと微笑みました。
悲しみの涙ではなく、絶望の涙でもない、
…これは、そう。
喜びと、願いの涙。
生きていて良かったと喜び、
生きていたいと願う、涙。
「…ああ、そうだ。
最後に君にプレセントと、お願いがある。
プレゼントは帰ってからのお楽しみだ。
そしてお願いは…その髪留めの事だ」
「この…髪留め?」
「もし君が、誰かを幸せにする立場に立ったのならば。
…その時は、その髪留めを一番最初の誰かに渡して欲しい。
…その子に、幸せになっても良いと、言ってあげて欲しい」
配達人さんの声が、遠くなっていきます。
「…どうか、君の未来に、君の歩む先に、
幸せと希望が、満ち溢れていますように」
そして女の子の意識は、ストンと、
温かな暗闇の中におちていきました。
♪
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