幸せの配達人

12/13
前へ
/13ページ
次へ
 女の子が目を覚ますと、女の子は、自分の布団の中にいて、  時計を見ると、まだ日が昇ってから少ししか経っていない事に気付きました。  暫くぼんやりとしていた女の子でしたが、 「あら?もう起きたの?」  その声にはっと起き上がって、声のした方を向きます。  そこにいたのは、 「お母さん…どうして…!」  女の子の、お母さんでした。  目をごしごしと何度擦っても、お母さんはちゃんとそこにいます。  どうしてでしょう。  お母さんは今日も、お昼までお仕事の筈なのに。 「言うのが遅くなっちゃってごめんね?  お母さん、働く場所が変わって、前よりもずっと良い場所で働ける様になったの。  一緒の時間も沢山取れる様になったのよ」 「そう…だったの?」  お母さんは微笑んで頷きます。  …これが配達人さんが言っていた、プレゼントなのでしょうか?  …ああ、なんて、  なんて素敵な、プレゼントなのでしょう。 「…あら?その髪留め、どうしたの?」  お母さんに言われ、女の子は、あの時配達人さんから貰った髪留めに触れました。  可愛らしい、雪の結晶の髪留め。 「…お母さん…」 「なぁに?」 「…お母さんは、私が生まれて、幸せ?  私が生まれて、良かったって、思って」  女の子の言葉は、途中で遮られました。     
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加