幸せの配達人

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 女の子より大きくて、温かく、そして優しい、その手で。    ♪ 「さぁ、君はいったいどこに行きたい?」     女の子と配達人さんは、空飛ぶ絨毯の上に乗っていました。  そうです。よく童話や絵本で見るあの空飛ぶ絨毯です。  女の子と配達人さんは、それに乗って町の空を疾走しているのでした。 「え?え、えと…」  空飛ぶ絨毯の上に乗せた椅子に座っていた幸せの配達人さんの後ろで、女の子はうんうんと悩みました。  行きたい場所は、あります。  …でもそこは、遠い遠い異国の地。  私みたいな、極々普通の女の子なんかが、そんなに迷惑を掛けて良いのでしょうか? 「良いんだよ」  深く考え込んでいた女の子に、そう、配達人さんは声を掛けました。 「君はもう少し我儘になって良い。それは私が保証しよう。  …そして私は、君の願いを迷惑だとは決して思わない。  絶対に。…絶対にだ」  女の子は配達人さんを見ます。  配達人さんは、微笑んでいました。  …とても、とっても優しい、微笑み。 「…さて、君はどこに行きたいんだ?」 「…………私は」  …きっと、我儘になり過ぎては、駄目なのでしょう。 「私は」  …でも、少しだけ。  この人になら、少しだけ。  …我儘になっても、良いのかなぁ、なんて、思って。     
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