幸せの配達人

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「ああ、こんにちは」 「まぁびっくりするのも無理は無いだろうな、リザードマンだし」 「あのっ、凄くかっこいいですっ!その爪とかっ!」 「ありがとう。これは俺達の部族の誇りでもあるんだ。そう言って貰えると嬉しいよ」  人と人では無いモノが共存する世界。  他にも、沢山の世界を回りました。  そうして、女の子と配達人さんは、女の子が元いた世界に戻って来たのでした。 「…もう少しで夜が明けるな」  配達人さんはポケットから取り出した懐中時計を見て、そう呟きました。  もうすぐ、この夢の様な時間も終わり。  この時間が終われば、女の子は元の生活に戻ります。  …あの生活に。  ……あの想いを、また。 「…ッ!」  女の子は、口を押さえました。  胃からせり上がって来る物を、無理矢理押さえる為に。  痛くて、苦しくて、気持ち悪くて。  その痛みは、苦しみは、気持ち悪さは、どんなに時が経っても消える事は無くて。 「…君に一つ、言っておきたい事がある」  不意に、配達人さんは女の子に声を掛けました。  女の子は口を押えながら、幸せの配達人さんを見ます。  …幸せの配達人さんは、 「君のお母さんは、君を本当に愛しているよ。     
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