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幸せの配達人
それは、しんしんと雪の降る、ある夜の事。
女の子がお家でお留守番をしていると、玄関をしゃんしゃんと叩く音が聞こえました。
女の子は剥いていた林檎を冷蔵庫に入れると、上着を羽織って玄関に近付きます。
しゃんしゃん。しゃんしゃん。
音は聞こえているのに、姿は見えません。
空耳でしょうか?
そう思った女の子が首を傾げ、部屋に戻ろうとした、その時。
しゃんしゃんっ!しゃんしゃんっ!
一際大きな音が聞こえたかと思うと、ガラス戸の向こう側に一瞬だけ、真っ白な何かが見えました。
どうやらガラス戸をしゃんしゃんと叩いていたのは、その真っ白な何かの様です。
女の子がしゃらららとガラス戸を開けると、それはぴょんと女の子に飛び付きました。
「わっ!」
女の子は尻もちをつきながらそれを受け止めます。
それは、雪と木の葉と赤い木の実で出来た、真っ白な雪兎でした。
その雪兎は、冷たくはなく、その手触りも、本物の兎と良く似ていて。
女の子が首を傾げると、雪兎もそれに合わせて「きゅっ?」と首を傾げました。
その仕草が、なんともおかしくて、可愛らしくて。
「ねぇ、雪兎さん。
貴方はいったいどこから来たの?
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