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蜷局渦巻《とぐろうずまき》 ─1─
「2年さ、それ1年時も言ったよね?なめてんの?」
また茶髪がどうのと帰宅部の先輩方に呼び止められた。これで二度目、前回は陸練になったばっかりだったから2か月ぶりか。
「いい加減黒に染めなよ」
と、ヘラヘラ私の髪に触ってくるのも前回と同じ。先輩方は何が気に入らないのか私なりに考えてみたが、特に私が美人なわけでもないし、先輩がブスなわけでもないので、きっと自分の髪の色が気に入らないんだなと気づいて今では確信している。
自分よりずっと茶っこい私の髪の色が気に入らないんじゃなくて、
「自分の髪の色が黒いのが気に入らない」
それに早く気付けばいい。で、水泳部に入ればいい。そうして塩素でバリバリに髪の毛を傷めれば半年もすれば茶髪なんですけど先輩、先輩も水泳部に入りませんか。精一杯こびた笑顔の奥の反骨心がそうつぶやくがそれが声にならなくて今日も薄ら笑い。
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