42人が本棚に入れています
本棚に追加
「布団をどけたら寒いぞ」
「これからあったかくなります。だから平気……」
佐藤は渋っていたが、桜井がよいしょと自分で掛布をどけようとするので、仕方ないなと苦笑しながら掛布をめくってくれた。
「おまえから何かしてくれるのは嬉しいが、これでも着てろ」
いきなり桜井の肩にふわりと柔らかいものがかけられた。それは桜井が寒くて拝借していた佐藤のカーディガンだ。
「しわになってしまいますよ。それに今から……するんだから……汚れてしまう」
「かまわん、その時は洗えばいい。だが俺はこれをおまえに着ていてほしい」
「私には大きすぎませんか……」
素肌に纏ったカーディガンはかなりぶかぶかだ。袖は指先しか出ないし、裾は長すぎて、カーディガンと言うより、タイトなミニワンピースのようだ。お尻をぺたんとつけてベッドの上に座り込むと、佐藤はひゅうと口笛を拭いた。
「いい格好だ。見えそうで見えないあたりが実にいい。男のロマンだな」
「そんないやらしい目で見ないでください……」
最初のコメントを投稿しよう!