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自分はそんなに煽情的に見えているのだろうか。恥ずかしくてつい身を捩ると、またふわんと佐藤のフレグランスが立ち上る。この香り……くらくらして脳が灼けてしまいそうなほど、愛しさで全身が熱くなる。
だが、そこまで佐藤に溺れている自分を見せたくなくて、桜井は唇を尖らせる。
「あなたが着ろって言うから着たんですよ。そもそもカーディガンは素肌に着るものではないでしょう?」
「かわいらしく俺を誘うおまえが悪い。だが風邪っぴきであることに違いはないから、カーディガンは着ていろ。かわいいおまえの色気がそれだけで増幅されるし、そいつは結構いい毛糸で作られているから、素肌に着ても刺激はないだろ? まあ、俺だけがその姿に刺激されてるけどな」
「まったく……あなたは変わりませんね」
デリカシーなど佐藤に期待していない。だが、今はそれでいい。
それが、桜井が愛してしまった男なのだ。
次は自分が佐藤を気持ちよくしてやらなければ。桜井は、男の強直に視線を向けた。
いつも桜井は受けているばかりだったから、こんな時くらい、彼にも気持ちよくなってほしい。
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