大晦日のフレグランス

23/43
前へ
/44ページ
次へ
「私、あまり上手ではありませんけどね……」  桜井は震える手でそこにふれ、そこに舌を這わせていく。 「恭司、おまえ……」 「私ばかりが楽はできないから……」 「無理するな、熱があるしきついだろ」 「抱いてくださいとお願いしたのは私ですから」  佐藤の精液で身体の中も彼で染まりたかった。舌先で先端をちろちろと舐めていると、佐藤の熱核から透明な露がこぼれだす。その一滴も逃したくなくて、必死で舐めていると、桜井の口の中で佐藤が大きくなる。鈴口、裏筋を軽く唇で吸いながら、茎全体をねっとりと舐めあげていくと、佐藤の息が少し上がった。  とはいえ、どこをどうすれば佐藤を気持ちよくさせられるのだろう。  そういえば、いつも自分ばかりが快楽に翻弄されるばかりだった。イカされて、出すだけ出して、その後始末をするのもいつも佐藤だった。  佐藤が遊び人だとは思わない。飄々とした言動の男ではあるが、おそらく彼は桜井しか抱いていないだろうと思う。他人の匂いや気配が佐藤から漂うことは、今まで一度もなかった。     
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加