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時報が鳴り、催眠術のような長い授業がようやく終わった。高校にもなると、難易度が上がって催眠効果も数段アップしたように感じる。
ざわつきだした教室で、やれやれとあくびをしながら全身を伸ばしていると、肩を怒らせながら一人の女子がが歩み寄ってきた。馬城さんだ。
「鹿澤くん。あなた、さっきの授業で早弁してたでしょ?」
「いや、してないよ」
白を切るようにかぶりを振った。
「嘘をついてもダメ」
僕の席の前で腕を組み、馬城さんは仁王立ちする。どうやら僕が認めるまで、ここを動かないらしい。めんどくさいことになったと内心思いつつ、教室をざっと見まわす。クラスメイトたちは僕と目があうと、同情的な視線はくれる。が、助け船は出してくれなさそうであった。薄情な連中である。
仕方がない。自分でなんとかしよう。
「白状なさい」
ばしんっと僕の机を叩き、馬城さんがぐいと詰め寄る。
「僕は白だよ。だいたい、昼休み前の四時限目で早弁なんてするわけないじゃないか」
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