しらばくれるれくばらし

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 いくらおなかが空いていたからといって、わざわざ四時限目でそんなリスクをとりはしないだろう。普通は。  教室中にただよいだした弁当や総菜パンの香りが食欲を刺激してくる。 「白々しい理屈ね。あなたの早弁が、学園の風紀を乱すのよ。それをわかっているの?」  言い忘れていたが、馬城さんは風紀委員を務めている。そこに真面目な性格も相まって、こういうふうに注意しにくるのだ。  まあ、早弁で風紀が乱れるのは、少々大げさだが。 「じゃあ、証拠はあるの?」  僕の言葉に馬城さんは口もとに薄く笑みを浮かべ、待ってましたとばかりに僕が着ている制服の袖口を指さした。 「その米粒がなによりの証拠よ」  見ると、確かに米粒がついている。 「今朝、食べた分だよ。こんなカチカチになっているし」  米粒は水分を失い、やや黄ばんでいる。今さっき食べていたら、こんな感じにはならないはずだ。 「う~ん」  馬城さんは少し悔しそうな表情を浮かべ、思案しはじめた。きっと別の糸口を探しているのだろう。このままだと、昼休みが終わってしまいそうだ。
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