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今だって、健全を絵に描いたような雰囲気に包まれている。というより、むしろ僕たちが風紀を乱しているような……。馬城さんの話が長引きそうだから、もちろん口にはださないけど。
「だからこそ練習が必要なの。風紀を乱す生徒がいつ現れてもいいようにね。鹿澤くんも生徒会長なんだからビシッとしなきゃ」
「わかってるよ。でもまあ、この練習が役に立たないことを祈らなきゃね」
「あたりまえじゃない」
馬城さんは微笑むと、さっきから待ちかねている女子グループの輪の中に入っていった。
馬城さんが和気あいあいと話しだしたのを確認し、僕は自分のカバンの中から弁当箱をとりだした。
ふー、セーフ。一瞬バレたのかとヒヤヒヤしたけど、どうやら思い違いだったらしい。
僕は弁当箱のフタを開け、授業中に食べて三分の二ほどに減った中身を見ながら安堵した。
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