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「みぃ、行ってくるよ」
私、相原泉美はいつものように飼い猫のみぃに声をかけた。
そのみぃと言えばまたいつものように知らんぷりだ。後片付けをしている母の足元で寝転んだままこちらを向こうともしない。
「もう。みぃはお母さんにばかり懐いて……。私が拾ってきたのに」
「いつものことじゃない。ほら、早くしないと遅刻するわよ」
「はーい。お母さん、行ってきます!」
私はがっかりしながらドアの横の自転車を引いて、外に出る。今日は曇り。入学したばかりの時は綺麗に咲いていた桜もすっかり散ってしまっていて、段々学校に行く道のりも退屈になってきた今日この頃。
せめてみぃが私を送り出してくれたら気分も変わるのにと思いながら私は自転車にまたがっていつものようにすいと漕ぎ出した。
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