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 受付で母の病室を聞いて、走りたいのを我慢しながら早歩きで病室に行った。 「お母さん!」  病室のドアを開けて呼ぶと、同室の患者さんたちが一斉にこちらを向いた。 「泉美。静かに」  母は一番手前のベッドに横たわっていた。顔色はよくなかったが、声は普段通りだった。  私は母のベッドのわきに座ると母の手を握った。母は大丈夫だからというようにその手を握り返す。その腕には点滴がされていた。 「ベッドを少し起こしてくれる?」  私は母に言われて、ベッドの角度を調節した。 「急に眩暈がして、意識を失ってしまったのよ。貧血と過労が主な原因だそうだけれど、念のため検査入院をすることになったの」 「眩暈? お母さん、最近多かったの? 眩暈が起こること」 「少しのふらつきはね。今回みたいなことは初めてだけれど。 学校を早退するほどのことじゃなかったのに」 「だって、心配だったんだもん」  私は思ったよりも元気な母に安堵して涙腺が緩んでしまい、涙をこぼした。 「あらあら、泣くようなことじゃないのに」  母はもう一度ぎゅっと私の手を握った。 「大丈夫だから、家に帰りなさい。みぃも待っているわよ」  私はそれでも一時間ほど母のそばに居てから家に帰った。
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