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ビーフシチュー
赤レンガの小さなレストラン。
それはこの街にある。東京都千代田区。
川沿いの橋の下。そこを通り抜けると、その先には門がある。石畳の先にあるのが、私がオーナーを務めるお店だ。
そこは都会の一等地にあるのに、誰にも気づかれない不思議な場所。そこで、私は今日も迷える子羊に最高のおもてなしをする。そう、料理で。
◇◇◇
その日はとても寒かった。
私は今日提供する料理を作っていた。
窓の外を覗くと、今だに雪は止まない。吹雪だ。
窓に息を吐いた。ぼんやりと白くなり、私の顔を映し出す。
時計を見ると、午後七時を過ぎたあたりだ。
この季節、この時間帯になると外は真っ暗だ。
「雪、早く止まないでしょうか」
私は頼りなげにそう言った。
◇◇◇
その日は近年稀に見る大雪のようで、全然お客はこなかった。窓の外をぼんやりと眺めていると、小さな人影があった。
私は目をカット開いて、扉を開けた。
私のバーテンダーのような服装に雪がかかり、私は暗がりにそびえ立つ人影の正体をはっきりと認識した。そこにいたのは、ファーのついたコートを着た、若い長髪の女性でした。
「大丈夫ですか?」
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