はじまり

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はじまり

 海の彼方に一つの島あり。  その島に九つの「神霊」が降り立つ。  島の民で選ばれし者、「器」となりてその神霊と融合せし。  その者、現人神(あらひとがみ)となりて、長い年月を生き、島の民に恵みを与えり。  また、現人神となり損ねた者もあり。  その者たち「眷属」となりて、長い時を生き、現人神に仕えり。  やがて、島民の中に死してのち、「死霊」となる者現れり。死霊、これ人に憑き、死をもたらさんとする不吉なものなり。  死をもたらしたのちは、悪霊となりて災いを起こせし。  神霊は人から死霊を離す力を持ちたり。  自らの欠片を人に与え、これを引き離さんとするなり。  この「試練」に成功せし者は元の人に戻りたり。  失敗せし者はその命を落としたり。  稀に、成功せしが死霊が離れぬ者あり。  これ「ワノトギ」と呼ぶ。ワノトギは只人より長き寿命を持ちたり。  また離れぬ死霊は「トギ」と呼びたり。  ワノトギはトギと神霊の欠片を身体に持ち、神霊の力を使い、悪霊を滅する力を持つ稀人となりき。  たびたび命を落とすこの所業、ワノトギの生業となり、人々の救いとなる。     
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