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負け犬と赤フード
「ん?」
ある。
あった。
いつも素通りしながらチェックする靴箱の前で、思わず足が止まってしまった。
「……え?」
思わず時計を見れば、やっぱり放課後。続いてカレンダーを見て、今日は水曜日。
「んん?」
3組の靴箱の右から4列目、上から3段目。合ってる。もう一度靴箱の中を見て、やっぱりある。2回見ても3回見ても、やっぱりあるものはあるしそれをどうこう言ったところで事実は覆らない。
まだ、校舎にいるのだ。
「あれ?」
今日はお母さんの誕生日だからご飯を食べに行くと言っていた筈だ。あれが聞き違いじゃなければ、もう校舎を出ていてもおかしくない。なのに、どうしてここに靴がある?どうしてここにあるのが上履きじゃない?
「…いやいやいや、まだ…まだ……うん」
ゆっくりと靴箱から後ずさりして、そのまま昇降口の壁に背中を預ける。漸くなれた支えがある体勢に思わずふぅと息を吐いて、手持無沙汰を装って携帯を取り出す。起動したのはルート案内アプリ。
「今日は流石にまずいだろ…いつもの事だけどさ」
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