負け犬と赤フード

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液晶画面の時計を見れば、あれからもう45分ほど経っただろうか。携帯を鞄に入れて、支えにしていた壁から離れて。思わず顔が歪む。念のため、ダメで元々とばかりにもう一度靴箱に近づいて。 「…チッ」 思わず出てきた舌打ちをダメで元々と宥めれば、とにかく出てこないと気が済まないのか今度は舌打ちに代わってため息が口から出てきた。あまり動きたくなかった事もあり、私の目の前を素通りして人の波に押し流されていく様を確認するだけのつもりだったのだが…そうもいかないか。 「何やってんだよ…あのバカ…」 気がつけば、教室へと続く階段に右足を乗せていた。たんたんと階段を踏みしめる度に眉間に皺が寄っていく。喉から犬の様な唸り声が漏れる。 「動きたくねぇ…」 だけど、足は意思に反してまっすぐ進んでいく。 3階の北校舎、2年3組の教室に向かって、一直線に。 「……いない」 教室には生徒が数人いるだけで、目的の人物、赤いパーカーを着たあいつはいなかった。 「ぁぁぁぁああ…くっそ…」 ここまでの短い道のりに感じる苦痛が報われなかった結果に、また喉から唸り声が零れる。 「どうした?誰か探してる?」 「っ、いや、その……」 「言うてほとんど帰っちゃってるけど…誰?」 「な、なぐ…も」 「南雲?」 「…いや、別に」     
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