負け犬と赤フード

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ただ、お母さんの誕生日なだけだ。 「とりあえず、メッセ送ってみるわ。返事来るか知らねぇけど、既読つけば大丈夫だろ」 「………」 「探しに行く気?」 「用事思い出しただけ」 「…あんさぁ、みど」 「……何?」 「いつになったら、南雲に告白すんの?」 「はぁ?」 思わず振り返ったついでに睨み利かせるが、そんなものずっと昔から見慣れてます少しは芸を増やせバカといわんばかりに吹き飛ばされる。 「みどがちょっと一押しするだけであいつあっさりコロッといくよ?」 「…おい」 「案外流されやすいって言うか、結構その気になっちゃうタイプだし」 「犬山、」 「大丈夫大丈夫。ヤンキー女でも範疇内の筈、」 「てめぇいっぺん黙れタマ逝くぞゴルァ!」 昇降口に負け犬の威嚇がワンと響いた。 「…ステーイ。みど、ステイ」 「……」 ネクタイごと胸倉わし掴まれたまま、犬山はホールドアップした手を宥めるように上下に揺らす。 「えっと…ごめんな?みど。とりあえず、謝る。そこまでお前をキレさせる話題だとは思わなかった。申し訳ない」 「……」 「ただ、ただな?みど。聞いてくれな?傍から見てて、お前の目的が分からんのよ」 「……」     
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